NHK制作のCD-ROMが特別賞受賞!

トロフィーは、あ・と・で
 NHKエデュケーショナルが製作した安野光雅のCD-ROM、「ペペロン村の四季」の世界CD-ROMグランプリ、モビウス(メビウス)賞での奮闘をレポート。いや、本当にかわいかったです。実際に自分の子供に遊ばせながら製作したとか。

 Apple-Expo東京では、結構人気を呼んでいたようですねー。

 ずるいよね、先月は新凱旋門でApple Expo、今月はエッフェル塔で世界CD-ROMコンテストだもの。舞台が派手。ちなみに新凱旋門が革命200周年ならエッフェル塔は革命100周年。300周年の時には、ルーブルがヴェルサイユと合体し、立ち上がって歩くそうです。アニメの見過ぎでしょう。

 今年で4回目のメビウス賞はEU(欧州連合)の主催。欧州連合、分かりますか?暴走族ちがうよ。でも、次第に勢力を拡大したり、(話が)くねくねしていてなかなか進まないのは一緒。あ、集会が多いのも同じね。

 授賞式会場はエッフェル塔の2階の式典用の部屋。観光では入れませんよ。ぼくも単なる交換留学生なので、受付のお姉さんを撃破して潜入。会場ではTVの科学番組の賞も一緒に行われていて、フランスのメジャーなTVや新聞がずらり。近くでナショナル・ジオグラフィックの人が子供をあやしていたし、「こんなにまとめて(TV御用達の)有名人を見たのは初めて」(在仏10年の通訳大関さん談)。

 結果発表!15カ国28のノミネート作品の中から、大賞はカナダ(ケベック)のLe Dictionnaire Visuel Interactif(ビジュアル・インタラクティブ・ディクショナリー)。完成度はすごく高くてmade in Japanみたいな良さがあります。まあ、それだけですが。12カ国語、PC版とMac版が用意されるらしい。

 創造賞は、デンマーク=フランス合作のTransfigure(変化)。カンディンスキーの絵に触発されて作曲したシェーンベルグに触発されたややこしい作品で、絵を音楽に、音楽を絵に読み換えて楽しめます。音符のCGが躍動的でしかも上品。ただ、Excelで作ったグラフみたいな感動でしたね。おお!と思うけど、だからなんだっていう。結局Excelのグラフは新たな刺激を求めてどんどん量産されていく運命にあるけどね(ぼくの場合)。Objectをぐるぐる回してみせる博物館ものが技術賞、ドイツのレジスタンスの話が審査員特別賞。

 日本からは3つ。オラシオンとヤノ電器と、NHKエデュケーショナル。受賞したのは?特別賞にNHKエデュケーショナルの「ペペロン村の四季(安野光雅の世界)」。とにかくかわいいくて、積み木と絵本とビデオが一緒になった感じ。「幼児の学習」にバンドルした方がいい。中川先生、低学年用にどうでしょう?審査では大賞にも創造賞にも1票差。強いて言えばこれといった押し出しがない悲劇。だからぼくは大賞あげましょう。EUのグランプリでこれだけやれば立派です。きっと30代のパパがMacを買う言い訳になる!

 出品作品全体として本からの連想が多かった。だから、ハイパーテキストばっかりで、はっきり言って飽きた。わざわざ賞をあげるようなコンテストは、もっと革新的でもいいんじゃないかな?

 話していた人が書くようになり、コミュニケーションは時間を越えた。出版が簡単になって階級を越えた。通信で場所を越えた。CD-ROMやマルチ・メディアは何を越えるの?個人的には「もの」を越えると思う。コミュニケーションや情報と「もの」が同列?人間だって最初は精子と卵子の情報でしょ。現地生産の発想はさきがけだと思う。だから、きっとマルチ・メディアは「もの」を越える。と、いうようなことをシャンパンを飲みながらふと考えた。ほら、いつも男は酒のせいにする。ずるいよね。ちゃん、ちゃん。(了)