Minitel au zenith

ミニテル・おゼニ(っと)
 フランス伝統の家庭情報端末、ミニテルの現状をレポート。ミニテルが根強い人気を誇り、そして今後ともインターネットと共存して生き残っていくのは、実はミニテルでは支払いシステムが確立しているからと言う点を報告しました。

 イントロで紹介した、ミッテラン元大統領に薔薇を手向けるページへのリンクをつくってみました。バーチャルにご冥福を祈りましょう。
 また、本文で紹介いたしましたように、ミニテルはインターネット経由で使えます。

ミニテルのスクリーンショット。電話番号検索は無料です。気をつけることは、住所がたとえ曖昧でも(Parisしか分からなくとも)、必ず入力すること。あとは、特に問題なし。とにかくさわってみることです。
また、ミニテル利用者は登録すれば電子メールサービスを利用できます。フランスの友人に登録させて電子メールを使わせましょう。ミニテルの遅さに辟易してすぐにコンピューターを買うことになるかも知れませんが。
 パリの街には卒業旅行の日本人学生が溢れかえりはじめた。変なやつに騙されはしないか、大変心配だ。旅の安全は事前の情報収集が肝心。現地の人に聞くのが一番だけど、パリ在住の人が結構いるNIFTY-Serveのフランス語会議室FLR(5)などを有効に使うのもいいだろう。

 フランス到着後のサバイバル情報収集の手段を知っておくことも大切。フランス土着の情報ツールといえば、何と言ってもミニテルだ。え? インターネットの時代にミニテル? とっくに時代遅れなのでは。 そもそもミニテルってなんじゃいな?

 ミニテルとは、ビデオテックスの回線網で、日本で言う「キャプテン」に毛が生えたようなもの。ふさふさだ。しかもサラサラだ。安っちいプラスチックのバレッタで髪をアップしたときのうなじがたまらん。それはさておき、彼女が生まれた'83年のフランスでは、ミッテラン大統領(当時)は左派大連合で共産党をも入閣させた内閣をつくっている。その3年後には右のジャック・シラク現大統領に首相をやらせている訳だから本当にこの人は分からない。以来、ミニテルは順調に発展を続け、'94年には開設ホストの累計は650万に達した。また同年6、7月には、月間1億回もの利用がなされたという。フランスの人口は日本の約半分だから、生まれたてほやほやから死にかけぐてぐてまで含めたフランス人が月に2回は使っていた計算になる。一方で利用時間で見ると同年は史上初めて前年を下回った年でもある。ミニテルは頂上をすぎたのだろうか?という議論もされているようだ。

 しかし、ミニテルの情報提供はかなり充実しているし、ミニテルでしかやっていないサービスが多いのも事実だ。3月号で取り上げた「ぎにょる」の元ネタとなっているTF1の20時のニュースでも、番組の最後には「こちらもご利用下さい」とミニテルの番号が出る。

 また、街なかの郵便局にある電話番号案内の無料ミニテルを使えば、名前から住所を調べることもできる。だから、パリで迷子になったら郵便局にかけ込んでしまうのも一つの手だ。住所さえ分かれば、通りの名前で引けるミシュランの地図などで目的地を簡単に調べられる。

 プレイガイドでは、ミニテルの画面で実際の席の位置を確認しながらチケットをとれる。大学の図書館はインターネットからはまだ検索出来ないが、ミニテルからはできる。勘ぐると、ミニテルなら料金をふんだくれるからかもしれない。

 この支払いの問題は結構ミニテルの強みだ。最近では家庭用ミニテル端末にクレジットカードを差し込んで支払いまで一気に済ませられる。クレジットカードがなくてもフランステレコムが料金を引き落とすこともできる。この辺については日本のダイヤルQ2を思い出してもらえればいい。

 ミニテルは、たとえ娘盛りがすぎたとしても、電子キャッシュは未だ幼すぎてロリコンだし、支払いが保証された実績のあるすてきなおねえさまネットワークとしてこれからもよろしく。ああおねえさま好きにして(了)。