マックのあるところないところ、そしてビーフ

 この3月、イギリスを訪れました。今回取り上げたThe Daily Mail Ideal Home Exhibitionは毎年この時期にロンドン市内Earl's Courtの大展示会場で行われるもの。家具、調度、台所用品はたまた庭園から家そのものまでを展示即売するとても楽しいものです。歴史や入場者数などについては記事にしたとおり。

 これまで西洋人は肩は凝らないと信じて疑わなかった私ですが、この展示会で懐かしのマッサージ・ローラーつきの椅子を発見。これは凝っている人間しか使わないよな〜と認識を新たにしたのでした。それまでも、低周波治療機のテレビCMは見ていたのですが、彼等はあくまでも肩や背中には当てない。ふとももやおなかにつけて「ダイエットにどうぞ〜」と宣伝していたのだ。しかし、まてよ、フランスはまだしも、イギリスは湿度高いから...?

 「ナドナ」は市場に売られていく子牛の歌である。小学校の教科書で教わったが、日本一のコメどころで育った私には全く現実感がなかった。

 96年3月、牛は市場に連れて行かれない。なぜなら脳が海綿状になってしまう奇病、通称「狂牛病」が発覚したからだ。これは人間にも感染する可能性があるとかでイギリス中のマクドナルドが牛肉を使ったハンバーガーの販売を中止した。政府はこの騒ぎの沈静化に必死で、農相が娘と一緒に牛肉を食べてみせるという「パフォーマンス」を演じたが、あれはお互い頭がスポンジになったら堂々と一緒にお風呂に入って背中の流しっこが出来るからだと言われている(ウソ)。どこの国もお父さんの願いは一つである(これはホントかも)。

 というわけでMacにビーフはないが、イギリスにMacはない(強引な展開だ)。シェアはほぼないも同然、6.7%位なもんである。それを痛感したのはイギリス最大の消費者ショウ(主催者側発表)、The Daily Mail Ideal Home Exhibitionに行ったときだ。この展示会は1908年以来90年近くの伝統を誇り、インテリア、エクステリアさらにはお家そのものまで展示してイギリス人の「城」、わが家にかける情熱を思い知らされる。展示面積は14エーカー、昨年の来場者はほぼ5万人に達し、展示されている家具はシチリア島の全ての家の分だけあるという。案の定ここにはMacの展示はなかったが、イギリス人がどのように「城」にコンピュータを持ち込もうとしているのか垣間見えて非常に面白かった。

 やっぱりあるわ。まず、マホガニー製のコンピュータ・デスク。マホガニーと言われるとなぜかシャーロック・ホームズを思い出す私だが、この格式はやはり他をよせつけないものがある。キーボードを載せるスライド式のトレイを手前につけただけのようだが、つまりそれ以外は全て完成されているという自信の現れなのだろう。さらに、機能的なイスやコーナー・デスクの提案。以前からバランス・チェアを愛用する私には垂涎の的のイスばかりだ(写真3)。いつか金持ちになったら全部買う

 あと、家庭の必需品(?)ブリタニカ大百科事典がCD-ROM化していた。たしかにこれはものすごく便利だ。事典そのものは(CD-ROM一枚で10万円を軽く超える値段を除いて)言うことなし。Netscapeを使う形式になっていた。ハイパー・テキストが使いたかったのね。毎年20ポンド(3200円くらい)でアップグレード・サービスがあるというのも感心した。

 ショーでは、コンピューターの位置づけは常に書斎の机の上を脱していなかった。だが、コンパックのプレゼンテーションを見ているイギリス人の反応で面白かったのは、おばちゃんが電子メールに非常に興味を示しているところだった。電子メールは意外とおばちゃん、おばあちゃんがばりばりのパワー・ユーザーになるきっかけになり、現在の想定とは反対にパソコンの居場所を暖炉の向かい、ソファーの脇あたりにするのかも。そうするとおじいちゃんは仕方がないから牛肉を食べて頭をスポンジにして孫と風呂に入るわけだな。納得納得。

 コンピューター・メーカーあるいはベンダーで出店していたのは残念ながらコンパックとヒューレット・パッカード系の店だけだった。Macはどうした!家庭こそMacじゃないのか!!と思ったら、意外なところにイギリスのMacの密集地帯を発見!!!

 次号Britishイヤミ後編、「大英Mac帝国潜入スペシャル・レポート うさぎちゃんと秘湯を行く!!!!(仮題)」を待て!!!!!(了)